副鼻腔炎(蓄膿症)

副鼻腔炎とは?

副鼻腔炎とは?副鼻腔炎(蓄膿症)とは副鼻腔で炎症が起こったり、膿が溜まったりした状態を言います。
副鼻腔とは頬、顔、目のまわりの骨の部分にある空洞のことで、普段はここには何もないのですが、副鼻腔の炎症が続くと膿が溜まるようになります。

副鼻腔炎の原因

副鼻腔炎の原因急性と慢性に分けられ、急性副鼻腔炎は主に細菌・ウイルスの感染で起こり、急性副鼻腔炎が慢性化した状態を慢性副鼻腔炎と言い、副鼻腔で溜まった膿が排出できなくなり、それにより炎症が悪化してさらに膿が溜まるという悪循環に陥ります。

副鼻腔炎の種類と症状

副鼻腔で炎症が起こる副鼻腔炎には様々な種類があり、主なものは次の通りです。それぞれで現れる症状がことなります。

小児副鼻腔炎

お子さまで起こる副鼻腔炎で、多くの場合、風邪の鼻炎に引き続いて起こったり、細菌・ウイルス感染で起こったりします。お子さんの副鼻腔炎では、アデノイド肥大やアレルギー性鼻炎がある場合には治りにくく、また風邪を引くたびに再発を繰り返すことがあります。

主な症状
  • 膿のような鼻水
  • 鼻づまり
  • 後鼻漏(鼻水が喉に流れる)

急性副鼻腔炎

主な原因は細菌・ウイルスの感染で、これにより副鼻腔で炎症が起こることで鼻水、鼻づまり、鼻の痛みなどの症状が現れます。

主な症状
  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • 鼻の痛み

慢性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎が慢性化し、排出できなくなった膿により炎症が悪化することで起こります。

主な症状
  • 鼻づまり
  • 鼻水
  • 後鼻漏(鼻水が喉に流れる)

好酸球性副鼻腔炎

難治性の副鼻腔炎で、再発を繰り返すことが多く、鼻ポリープをともないます。成人以降によくみられ、嗅覚障害が症状として現れやすいという特徴があります。2015年に国から難病に指定されています。

主な症状
  • 嗅覚障害
  • 粘度の高い黄色い鼻水が出る
  • 鼻づまり

副鼻腔炎の検査と診断

副鼻腔炎の検査と診断内視鏡を挿入して、鼻内の状態を詳しく確認します。多くの場合、内視鏡による画像検査で副鼻腔炎を診断することが可能ですが、確定のためにはCT検査が必要になります。

副鼻腔炎の治療

当クリニックでは各副鼻腔炎に対して次のような治療を行います。

小児副鼻腔炎の場合

まずは鼻吸引で鼻水を吸い出した後、ネブライザーによる抗生物質の吸引などで細菌・ウイルスを減少させます。

急性副鼻腔炎の場合

吸引器で副鼻腔に溜まった鼻水を吸引した後、内服薬やネブライザーなどを組み合わせて症状の改善をはかります。これらの治療で十分な効果が認められないような場合には、外科手術を検討します。

慢性副鼻腔炎の場合

抗生物質や炎症を抑えるお薬を使った薬物療法を中心に、鼻内の膿の吸引やネブライザー療法なども行います。
軽症の場合、これらの治療で改善できるケースもありますが、改善がみられない場合には手術療法を行うこともあります。

当クリニックでは手術を行う場合、連携病院にて短期入院手術を行わせていただきます。
手術の内容や患部の状態などによっても変わってきますが、入院は1泊2日程度と短期間で済むケースもあります。
術後は当クリニックで継続的に診察を行って、術後の経過をフォローさせていただきます。

慢性副鼻腔炎に対する手術
ESS(内視鏡下副鼻腔手術)

慢性副鼻腔炎に対して、内視鏡を使った侵襲の少ない手術を行います。
鼻腔から内視鏡を挿入して、モニターで患部を確認しながら炎症部分や鼻茸などを切除します。
お体への負担が少ない手術ですので、術後の痛みが少なくて済み、お顔の腫れも抑えられます。

内視鏡下鼻内整復術

左右の鼻腔の中央にある鼻中隔が弯曲していたり、中甲介や下甲介などに構造的な問題があったりして、副鼻腔炎を悪化させる要因となっている場合、内視鏡を使ってこれらの構造を修復します。
鼻中隔矯正術や粘膜下下甲介骨切除術などの方法があり、悪化の要因に応じて適切な術式を選択します。
低侵襲の手術なので、鼻の形が変わったり、お顔に傷が残ったりする心配はありません。

拡大前頭洞手術

頭痛や眼痛の原因となる前頭洞炎(前頭洞で起こる炎症)に対して行われる手術で、従来は額の皮膚を切開して患部へアプローチする術式が中心でしたが、現在では内視鏡の進歩により切開せずに手術を行うことが可能になっています。
前頭洞のまわりには眼や脳があり、鼻腔との繋がりも狭いため難易度の高い手術でリスクがあるとされていましたが、内視鏡を使った手術によりリスクが低減させられ、安全に実施可能となっています。

 

 

好酸球性副鼻腔炎の場合

軽症の場合にはステロイドの噴霧薬を処方したり、鼻洗浄を行ったりします。嗅覚障害が著しいなど症状が強い場合には、先の治療に加えて1ヶ月を目安にステロイド点鼻薬を使用します。 点鼻薬でも嗅覚障害が改善されない場合には、ステロイド内服薬を使用するケースもあります。

鼻茸を伴う副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)に対する手術
鼻茸を伴う副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)に対する手術

好酸球性副鼻腔炎では、鼻内および副鼻腔に発生するポリープ(鼻茸)により嗅覚障害や鼻閉、粘性鼻汁、後鼻漏などの様々な症状が出現します。また、後鼻漏が刺激となって気管支喘息が悪化することもあります。

嗅覚障害や鼻づまりを始めとする様々な症状を軽減し、また気管支喘息をコントロール可能な状態にするために手術が必要になる場合があります。

しかし、手術によって好酸球性副鼻腔炎を完治させることはできません。ポリープを再発させないようにするためには、手術後の治療も大切になります。

手術の主な目的は以下のようになります。

  • 1)鼻内のポリープを採取して病理検査に提出し、好酸球性副鼻腔炎の確定診断を得る。
  • 2)鼻内のポリープを減量して鼻腔通気を改善して、鼻づまりや嗅覚障害を改善させる。
  • 3)副鼻腔の小さな蜂巣の壁を切除して一つの大きな空間として開放(単洞化)して、手術後の治療で洗浄液や薬液が届きやすいようにする。(膿汁が貯留しにくいようにし炎症が再燃しにくいようにする。)

上記のうち、1と2の目的を達成するための手術は、耳鼻咽喉科専門医であれば、鼻手術の専門家でなくても手術は可能です。また鼻腔内のポリープ切除を行うと一時的には症状が改善するため、いい手術をうけたと納得しやすいです。

しかし、目的3に記載した、再発をできるだけ少なくする手術をしておかないと、手術後早期に再発してしまう可能性が高くなります。副鼻腔を徹底的に開放するには、隣接する眼や脳の近くまで切除を行う必要があるため、それらを損傷することなく手術を行うには、高い技術や豊富な経験が必要です。また、徹底的な手術を行うためには、専門家であっても一定程度の時間がかかります。そして、手術を受ける患者さんにとっての問題は、中途半端な手術を行っても一時的にはそれなりに症状が改善するため、患者さんには区別がつかないことです。しかし、そのような手術では、手術後の治療で洗浄や薬液の投与が困難になるため、早期にポリープの再発や増大、嗅覚障害など症状の再発を起こしやすくなります。
当クリニックでは、短時間で安易に行われる副鼻腔手術は、最終的には患者さんのためにならないと考えます。

好酸球性副鼻腔炎手術後の再発に対する治療
  • 好酸球性副鼻腔手術後の再発に対する治療として、バイオ製剤による治療が、2020年から保険適応となりました。2〜4週間に一度、バイオ製剤の注射を行います。ご自身で管理可能と認められる方の場合、一定期間の医療機関での治療後、在宅自己注射に移行することも認められています。
  • 尚、保険診療上、一度も手術を受けていない方へのバイオ製剤の治療は、基本的には認められておりません。
    バイオ製剤は高額となっているため、難病認定を行って公費による助成を受けながら治療を受けることが多くなります。
  • 院長は難病治療の経験が豊富にあり、また当クリニックは難病指定医療機関となっているため、難病の認定や助成の手続きから、難病医療の継続までトータルにサポートすることが可能です。
  • 但し、この治療を希望されても、鼻ポリープの状態など定められた要件を満たす必要があるため、治療を受けられない場合があります。詳しくは当クリニックを受診の上、ご相談ください。

副鼻腔炎の手術費用の目安

慢性副鼻腔炎・鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎の手術は、入院された病院でのお支払いとなります。
高額療養費の手続きは、入院された病院の窓口で行っていただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。

(*1)実質自己負担額は、高額療養費制度を利用した場合の<区分ウ>の概算金額となります。所得や処置方法等によっても多少前後する場合がございますので、ご来院時にご説明させていただきます。

高額療養費制度について
詳しくはこちら

術後の注意事項

  • 術後の出血を避けるため、筋トレや重いものを持つなどの運動、飲酒、長風呂や熱い風呂は、避けてください。日帰り手術の場合、手術当日。切開を伴う入院手術の場合は、2週間です。
  • 術後1,2週間は、術後の腫れが生じるため、一旦鼻づまりがひどくなります。この時期には、飛行機を使う旅行や出張、受験、面接、その他大事な仕事の時期は避けてください。
  • 副鼻腔炎・鼻茸に対する手術の場合は、再発予防のため、術後の鼻洗浄を長期間行って頂きます。また、好酸球性副鼻腔炎の患者さんの場合、薬剤を洗浄液に入れて鼻洗浄を行っていただく場合があります。気管支喘息を合併している患者さんの場合は、吸入薬の鼻呼出を行っていただく場合があります。

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